spacer.gif手にとる宇宙 Space in Capsule[2]
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3. インタヴュー

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ミッションに関する宇宙飛行士へのインタビュー

2002年8月のヒューストンにおけるこの計画の話合いについては、これに特に関心を示している野口氏が、他の宇宙飛行士に内容を紹介しながらというかたちで進められた。

まず、シリンダーの中身について、何もない「空」なのか、それとも「宇宙」が詰められているということなのかという議論から始まったが、この両義性そのもののおもしろさという点をおさえた上で、土井宇宙飛行士から月まで行けば更に絶対的な真空があり、それなら崇高さすら感じるという意見が出された。
このミッションそのものは ISS と地球とを往来するスペースシャトルの船外活動を念頭に計画されていたが、やはり、NASA 側のチェックが厳しいこと、スペースシャトルのスケジュールがあまりにタイトであることなどから、ISS で本格的に様々な実験がなされるまで待った方が実現されやすいのではという指摘がなされた。
なお、若田宇宙飛行士から、既に NASA で使用されているような、サンプルを採取するための容器などを用い、人の手を介さずバルブが開閉される仕組みを考えるなら、スペースシャトルでも実現可能ではないかというアドバイスが付け加えられた。

残された課題は、持ち帰ったこの小さなカプセルで、「宇宙を手にとる」ような感覚を得るには、どのような展示がなされるべきかということについてである。
あらためて言うまでも無く「宇宙」をカプセルの中に詰め、持ち帰ればそのまま完成するというのではなく、それを素材とする展示に、観客がふれ、接点を持つことで初めて成立するというのがこのプロジェクトの特徴である。
これらを受け、共同研究最終年度の2003年は、同年12月の報告会の際に、展示についての提案をすることでこの研究のまとめとすることとした。

4.展示方法についての考察 s.gif

展示方法を考案する上で大いに参考になったのは、NASA研修の際に見かけた月の石の展示である。

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ジョンソン宇宙センターにて

ほんの小さな切片にスライスされた月の石に観者が触れることのできるこの装置には、
「あなたは今、38億年前の宇宙の一部に触れています。」
で始まる解説がつけられている。

月の石が貼り付けられている台の上には、開いた手を横から滑り込ませるだけの隙間をあけて、透明なガラス板が上からかぶせてある。盗難防止の機能も備えたこの一枚のガラス板のために、石に触れようとする観客は、上から覗きこみながら手を伸ばしていく。その結果、指先が石に触れる瞬間に意識を集中させる効果を生み出していた。

解説を読み、石を眺めているよりも実際にそのものに触れてみるという体験には、見て納得するのとはまた別の、想像を内包するような種類の実感があることを示唆していて興味深い。

「手にとる宇宙」の展示に際しても、カプセルがどのようにして持ち込まれたのかという背景を効果的に伝えるということと、そのカプセルに観者が手を触れる際にどれだけ緊張感を与えられるかが、「宇宙を手にとる」という実感を得るための鍵となると考えられる。


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