<< AAS 2001-2003 index << | index | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | >>

液状物質 - 4

4. 液体のコントロール − これまでの試み


材料実験等では,実験のために液体を保持したり形を保ったりする必要があるの で,さまざまな法則を使ってこれを実現している。液体を使った造形に応用するため,液体のコントロールにはどのような方法があるのかレ ビューする。

(1) 磁場

伝導体,強磁性体は磁場による変形が可能である。
  • 電導性の液体…回転磁場によって回転を制御することができる。材料実験では回転を防ぐ目的で使われることがある。
  • 強磁性の液体…フェロフルイド (ferrofluid) のような強磁性体を持つ液体は,磁場によって容易に変形させることができる。地上で造形作品などに使われたりするが,化学薬品であるため宇宙へ上がった例 は ない。
(2) 電場
  • 資料を帯電させて電場で保持することができる (静電浮遊)。地上でも,シャボン玉のように軽ければ,帯電させることによって空中に保持することができる。
  • 電導性の液体を電磁誘導によってコイルの中に保持することができる (電磁浮遊)。
  • 交流を流した電導性気体による液体の変形。
(3) 熱

加熱によって表面張力が低下すると,表面張力対流(マランゴニ 対流)が発生する。材料実験では,これに伴う波の発生を防ぐことが 課題になる。
(4) 音
  • 空気振動のなかに置いたものがエネルギーの低い「節」に集中することを利用して,資料を保持することができる (音波浮遊)。
  • 強い音波による音圧で液体を変形させることが可能である。表面張力に抗して変形させるためには100dB (デシベル) 程度の強い音が必要である。
(5) 気流

ベルヌーイの定理を利用して,資料を気流の浮き出し口に保持することができる。

(6) 波
水面の波には,表面波(重力波)と表面張力波がある。地上では重力による表面波が支配的で,表面張力波は短い波長 (1.7cm以下) の波でしか見られない。いっぽう,微小重力下では復元力が表面張力のみになるので,波長が長く周波数の低い (数 Hz 以下) 表面張力波も可能となる。ループに保持した水膜の実験では,ループをゆっくりと動かすと表面張力波が発生し,水がしずくのように飛び出す現象が見られてい る。
速度グラフ

(7) 濡れ性
液体には濡れ性があるので,これを利用して液体を保持したり変形したりすることができる。ISS で行われた,ループによる液体の保持の実験 (前ページ) はその例である。水が入ったポリ袋にループを入れ,ループを引き出すときに袋の入り口の開きぐあいを調整することで,任意の厚さの水膜を作ることができ る。針 金細工の間に水膜を張るという例もある。

     

<< AAS 2001-2003 index << | index | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | >>