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muse 計画[ 1|2

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■概要と目的

■研究の条件

■KOKORO Project

■COSMOS Project

■W-HERE Project

■AASメンバー

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■概要と目的 s.gif

国際宇宙ステーション(ISS)および日本の実験モジュール「きぼう」は、人類がはじめて宇宙に持つ恒久的な活動拠点である。そこで行なわれる微小重力科学やライフサイエンス、新素材開発等に関わる諸々の自然科学的・工学的実験や観測は、危機的状況にある地球環境と人類の未来にさまざまな貢献をはたすだろう。
だが同時に、ISSと「きぼう」は、宇宙時代における新たな生命観・世界観・自然観の形成にも積極的な貢献を果たすものでなければならない。そこでは、これまで分断されがちであった科学技術と人文科学、芸術の新たな総合の方向を提示し、文化的・民族的・宗教的多様性を認め、あらゆる生命への深い共感に支えられた地球人としての自覚形成を促す契機となることが要請されている。
こうした問題に芸術の立場からアプローチする研究を、私たち「宇宙への芸術的アプローチ(Artistic Approaches to Space=AAS)」研究グループは、“MUSE計画”と呼ぶ。“MUSE(ミューズ)”は、ギリシャ神話でいう学芸の女神で、沈思・黙想という意味も持つ。
“MUSE計画”は、宇宙開発事業団(NASDA)および日本人宇宙飛行士の方々とともに、宇宙における芸術表現の意義と可能性、条件と方法を研究し、「きぼう」を核とした宇宙環境における芸術プロジェクトの実現をめざして、具体的な提案と創作実践を行う共同研究プロジェクトである。

“MUSE計画”の意義は、次の三つの点にある。

第一に、芸術は、太古から今日に至るまで、人間とそれをとりまく環境の根源的関係に根ざし、認識や感覚、感情や記憶、世界観や自然観を支え、表現してきた。宇宙という新たな環境がこうした人間存在の基盤に直接作用し、現実感(リアリティ)を変容させずにはおかない以上、宇宙環境においても、芸術活動の可能性や意義が考えられねばならない。

第二に、これまでの芸術は、地球環境固有の条件によって規定されてきた。地上とはまったく異なる宇宙環境での芸術の可能性を研究することは、芸術そのものの概念と機能を問い直し、既存の表現形式の解体と再編、融合と拡大を導くだろう。それはまた人間存在の本質を新たな角度から検証することにもつながる。こうしたフィードバックは、宇宙への芸術的アプローチが持つ根本的な意義の一つにほかならない。

第三に、そうした研究プロセスは、必然的に従来の文化的枠組みを越えて、芸術と諸科学、異質な知と感性の交流を触発し、新たな創造活動の領域形成を促進すると思われる。それは、宇宙時代における新しい文化の着床点を準備するだろう。


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■研究の条件  

本研究は、内容と目的においてこれまでの芸術研究・人文社会的研究では例を見ないものである。そのことはまた、研究や実験を進めるための研究環境そのものがまったく未整備であることを意味する。
何よりも、われわれには、データ蓄積や組織的・設備的・財政的基盤がほとんど欠落している。しかし同時に、NASDAを通じて宇宙飛行士と直接的なつながりを持ちうる立場にある。この特殊な立場から、次の二点が研究の要となった。

[1]宇宙飛行士との緊密なコミュニケーション

われわれ自身が宇宙環境を体験しえない以上、何らかの表現活動を行いうるのはあくまで宇宙飛行士である。それゆえ、宇宙飛行士との交流と相互理解がきわめて重要である。

[2]研究プランおよび研究成果物の位置づけ

自然科学の研究の場合等と異なり、個々に強い個性を持つ芸術家の共同研究は過去にあまり例を見ない。この共同研究そのものが芸術活動の新たな意識や価値観を模索する実験になると考えられる。本研究がこの分野における研究の今後の発展への先駆けであり布石であることを十分に配慮し、従来のような並列的個人研究に陥ることなく、本研究グループ総体が有機的で多元的な研究プロジェクトを実現していくため、また研究分野の活性を維持する観点から、次の2点に留意する。

(1)研究グループ内においてはプロジェクトプランから研究成果物にいたる全てを再利用可能な属性を継承するリソースとして公開・共有することを前提とする。
(2)対外的にも同様の展開をすべく、NASDA等関係各機関との調整、検討を行う。

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