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心の場 - 5
5. 「心の場」の実験内容と目的


心的感覚や知覚の変容を考察するものとして,実現可能な2つのテーマ(場面) を選び出し設定した。

(1) 人間(自己)の感覚を純粋に引き出すことのできる実験空間の設定

「心の場」の具体的な内部空間の設定はつぎのとおりである。内部全体に夜光塗料が均一に塗布され,光を当てれば光が蓄えられ数時間に亘って発光を続ける 空間。これによって,限界を感じることのない無限の宇宙空間に似たやわらかい緑色の光の空間に包まれているといった状態が続く。あたかも重力がない空間に 身をあずけているような錯覚に陥る。

中庸,無限で「無の空間」という設定によって

内部に入れば,やがて自分自身を見つめることを余儀なくされる。
  ↓
それを過ぎれば,やがて精神の統一 (contemplation) が起こる 。
  ↓
心的変容が起こり,純粋な自分自身が求められるようになる。
  ↓
あらたな自己発見に向かう精神が働き出す。
  ↓
別な意味を持った自己発見の旅が始まる。

単純にこのような図式にはならないと思われるが,何らかの形で自己を見つめ直すきっかけになると思われる。何らかの意識や感覚の変容が起こるのは必至であ る。

(2) 別の側面から,普遍的な人間の「心」がどのようなものであるか考察する

ひとつの実験事例として「自然とは」をテーマに設定した。人類は,地球環境から今のところ心的に離れることは不可能と思われる。 近い将来,何年,何十年の単位で宇宙への旅が行われても,やはり帰り着くところは地球以外には存在しないだろう。 「地球はふるさと」であり,「ふるさとは心」そのものであるからだ。 「心のふるさと」は,自分自身を含めた地球環境であり,地球の自然そのものではないかと考えられる。

人類史上,最も長い748日間,宇宙に滞在した経験をもつロシア人宇宙飛行士セルゲイ・アウデエフ氏がインタビューの中でつぎのように語っていることは, ひじょうに興味深い。
たとえば普通なら,きれいな花を見ても別に気にならないと思います。しかし宇宙に行くと考え方がかわります。自然は 不思議なものだと感じ,地球にはどうし てこんな植物があるのだろうと考えるのです。(Newton 2004年10月号より)
「自然とは」というテーマにはつぎの側面がある。
A) 地球,自然と心の対話を通して
B) 芸術表現と心の対話を中心に

これら A),B) をもとに「心の場」の内部空間に自然を再現し,心的変容を探る。
これらの考察によって,ヒーリングを中核とした芸術の意義と役割がクローズアップされると思われる。直接的には宇宙飛行士による宇宙環境への長期滞在の 折,心理,精神面でのケアに大いに役立つと思われるし,新しい創造の可能性と新たな文化の発生にもつながると思われる。


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